WordPressは、2003年に誕生した無料のオープンソースのコンテンツ管理システム(CMS)で、世界中の多くのWebサイトで使用されています。ブログを簡単に作成するために開発されたツールですが、現在では多様なWebサイトの作成に利用できる万能なプラットフォームとなっています。

WordPressは初心者からプロまで幅広く利用されており、プログラミングの知識がなくても直感的にWebサイトを構築できるのが特徴です。また、オープンソースであるため、誰でも自由に改良したり、拡張したりできるのも魅力の一つです。

この記事を読んで分かること
  • WordPressができること
  • WordPress使うメリットとデメリット
  • WordPressを使うのに向いてる人
  • WordPressの始め方

WordPressは多数の専門用語が出てきますが、なるべく初心者の方でも理解できるように、解説を交えて説明しています。また、必要に応じて引用や出典元を明示しています。

この記事の全てを理解する必要はありません。既にWordPressに理解のある方は、WordPressの始め方に進んで下さい。

WordPressでできること

WordPressができる具体的な内容は主に以下の7つです。

ブログの作成

WordPressは元々、ブログ作成ツールとして開発されました。そのため、投稿管理やコメント機能など、ブログ運営に必要な機能が充実しています。また投稿を作成するだけでなく分類し、公開することが可能です。さらに、投稿の公開日時を設定することもできます。

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WordPressはブログの作成が最初の目的でした。その後、開発を繰り返して、現在の高機能・高カスタマイズ性を備えたCMSとなりました。

CMSとは?

コンテンツマネジメントシステムの略称。Webサイトの記事・画像・動画などのコンテンツを、一括で管理編集できるソフトウェアのこと。WordPressは視覚的に操作編集ができる、世界的に代表的なCMSの一つ

企業サイトやポートフォリオの構築

企業や個人のポートフォリオサイトもWordPressで簡単に作成できます。WordPressテーマを利用して、プロが作成したようなデザインを施すことができ、企業の顔となるWebサイトを構築することが可能です。お問い合わせフォームやGoogleマップの埋め込み、さらには多言語対応まで、ビジネスに必要な機能を追加できます。

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WordPressならデザインに優れているだけでなく、企業サイトに必要な機能を搭載したWebサイトも作成できます。

オンラインショップの運営

WordPressは「WooCommerce」というプラグインを使えば、オンラインショップを簡単に立ち上げることができます。WooCommerceは、製品の登録、在庫管理、決済処理、配送オプションなど、オンラインショップ運営に必要なすべての機能を提供します。これにより、物理的な商品だけでなく、デジタル製品やサービスの販売も可能です。

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WordPressならAmazonのような、通販サイトを構築することも可能です。

プラグインとWooCommerceとは?
  • プラグイン:WordPressで作成されたWebサイトに、機能を追加することができるツール。Webサイトにお問い合わせフォームを設置したり、表示速度を改善したり、セキュリティ対策を強化したりなど様々です。
  • WooCommerce:Webサイト上で、オンラインストアを開設するのに必要な機能を備えたプラグイン

会員制サイトの作成

WordPressを使って、会員制サイトやオンラインコミュニティを構築することができます。特定のコンテンツを会員だけに提供するプラグインを使用すれば、プレミアムサービスを提供するためのプラットフォームを簡単に作成できます。

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会員制サイトの用途は幅広くあります。通販サイトや会員制コミュニティサイト、会員制動画サイトなどです。個人情報保護の観点から見ても、会員制サイトが構築できるのは大きな強みです。

会員制サイトやオンラインコミュニティとは?
  • 会員制サイト:Webサイトのログイン時にログインIDやパスワードを要求するようなサイトのことです。Amazon Primeのような動画サイトやメルカリのようなフリマサイトも会員制サイトです。
  • オンラインコミュニティ:Webサイトにログインするのに一定の資格が必要なサイトです。利用するには特定のサービスの利用者であることや、招待されることなどが条件だったりします。Linkedin、Discord、GitHubは代表的なオンラインコミュニティサイトです。

多言語サイトの作成

多言語対応のウェブサイトを作ることも可能です。WordPressの多言語プラグインを使えば、異なる言語でコンテンツを提供し、世界中のユーザーに対応することができます。たとえば、英語、日本語、スペイン語といった複数の言語に対応することで、グローバルなユーザーに提供することができます。

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グローバルに展開するWebサイトやサービスの場合、言語ごとにWebサイトを構築するか、多言語対応は必須となります。

イベントサイトの作成

WordPressは、イベントのプロモーションや管理にも対応しています。イベントカレンダーや予約システムのプラグインを利用することで、イベントの告知や参加者の管理が簡単に行えます。また、チケット販売システムを追加すれば、イベントの運営もスムーズに進めることができます。

SNSと連携してイベントサイトの周知を行ったり、Webサイト内でZoomやYouTube liveと連携することで、ライブストリームを実施したりなどができます。代表的なイベントサイトとして、「connpass」や「Peatix」がなどがあります。

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会員制サイトのイベントプロモーションなどは、煩雑な手間が掛かりますが、WordPressならそれも簡単に可能です。

強力なSEO対策ができる

WordPressは強力なSEO対策ができる。SEO対策を行うことで、完成したWebサイトを世界中の人々に届けることも可能。

WordPressは検索エンジン最適化(SEO)にも強力です。WordPressは基本的なSEO対策が施された構造になっており、追加のSEOプラグインを使用することで、さらに効果的なSEOを実行できます。この結果、検索エンジンのランキングを向上させ、Webサイトへの集客を増やすことが可能です。

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企業サイトであれ、個人のサイトであれ、SEOは避けては通れない重要な対策です。WordPressでは豊富な対策が可能です。

SEOとは?

Googleなどの検索エンジン上で、検索結果に相応しいWebサイトを表示させることを言う。Webサイトの認知、Webサイトを用いた集客を考える上で重要な対策。

WordPressを使うメリット

Webサイトに掛ける費用を節約できる

WordPress自体は無料で利用できます。さらに、無料で利用できるテーマやプラグインも数多く提供されており、低コストでWebサイトを運営することが可能です。実際に必要な費用は以下の通りです。

Webサイト運営に必要な費用
  • レンタルサーバー利用料金(月額~年額など)
  • 独自ドメインの取得更新費用(年更新など)
  • 有料WordPressテーマの購入代金(無料のWordPressテーマもある)

レンタルサーバー代は月額数百~1,000円前後が主流になっています。独自ドメインの取得費用は0円~数千円と幅広くあります。有料のWordPressテーマは10,000円以下~30,000円以上など様々です。

アフィリエイトブログを運営するのであれば、無料のテーマと格安の独自ドメインだけでも十分です。低コストで収益化することも可能です。詳しくは「アフィリエイトブログならWordPressでやるべき理由」で解説しています。

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WordPressでWebサイトの運営は低コストで行えます。特にマルチドメイン対応のレンタルサーバーなら、一つのサーバーで複数のWebサイト運営が可能なので、コスパに優れています。

マルチドメインとは?

一つWebサーバーで複数のドメインを管理運営することを言う。管理するドメインが多いほど、サーバー利用料に対してのコストが良くなる。管理ドメインが増えると、サーバーの負荷が高くなりWebサイトのパフォーマンスが落ちるデメリットもある。

カスタマイズ性が高い

WordPressは非常にカスタマイズ性が高く、ユーザーのニーズに合わせて自由にウェブサイトを作り込むことができます。テーマを利用することで、デザインや機能を簡単に追加・変更できます。また、コードに直接アクセスして、より細かなカスタマイズを行うことも可能です。

テーマとは、人間に例えると衣服のようなものです。衣服を変えると見た目や機能が変わるように、WordPressもテーマを変更することで見た目と機能性が大きく変化します。

WordPressテーマは無料のものから有料のものまで、機能の違いまで含めて数多く存在します。詳しくは「初心者向けブログ用WordPressテーマの選び方」で解説しています。

WordPressのカスタマイズ性はテーマに依存する部分が大きいです。用途に応じたテーマを利用することで、最適なWebサイトが構築できます。

プラグインによる機能拡張

WordPressはプラグインを利用することで、Webサイトの機能を簡単に拡張できます。SEO、セキュリティ、パフォーマンスの最適化、SNS連携など、あらゆるニーズに応えるプラグインが揃っています。これにより、特定の目的に特化したWebサイトを構築することが可能です。

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プラグインはWordPressの機能面を強化してくれます。非常に便利な拡張機能ですが、デメリットもあります。

モバイル対応が簡単

現代のWebサイトは、モバイルでも閲覧できることが求められます。WordPressでは、多くのテーマがレスポンシブデザインを採用しており、スマートフォンやタブレットでも表示されるサイトを簡単に作成できます。また、モバイル向けのカスタマイズもプラグインで対応可能です。

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スマートフォンからWebサイトを閲覧する場合も多いので、モバイル表示は必須の機能です。

大規模なコミュニティとサポート

WordPressには世界中に大規模なユーザーコミュニティが存在します。そこではフォーラムやブログ、動画チュートリアルなど、豊富な情報が提供されています。これにより、トラブルが発生した際にも解決策を見つけやすく、初心者でも安心して利用できます。

また、WordPressには公式のフォーラムもあります。公式フォーラムでは、既出の問題について調べたり、問題についてトピックスを立てて質問したりが可能です。ただし、フォーラムなので質問に対しての回答が必ず得られるわけではありません。さらに、フォーラム内の検索機能も不十分なため、初心者向きとは言えません。

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WordPressは世界中に利用者がいるため、コミュニティや利用マニュアルを公開しているサイトは数多くあります。

継続的なアップデート

WordPressは定期的にアップデートされており、最新のWeb技術やセキュリティ対策が取り入れられています。これにより、常に最新の機能を利用でき、Webサイトの安全性も確保されます。

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WordPressは機能追加やバグの修正など、必要に応じて定期的に更新されています。

多言語対応の利便性

多言語対応のプラグインを活用することで、簡単に複数の言語でコンテンツを提供できます。これにより、グローバルなビジネスや、多文化に対応したサービスの提供が可能になります。

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それぞれの言語に応じたWebサイトを構築しなくても、多言語対応のプラグインを導入することで対処も可能です。

WordPressのデメリット

1. セキュリティリスク

WordPressは世界中で使用されているプラットフォームであるため、ハッカーのターゲットになりやすいというセキュリティリスクがあります。特に、サードパーティ製のプラグインやテーマを使用する場合、脆弱性が発生する危険があります。そのため、定期的な更新や信頼できるプラグインの選ぶ必要あります。

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プラグインにはテーマとの互換性などもあるため、無闇に利用するのはオススメできません。また、WordPressにアップデートがある場合は速やかに更新しましょう。

2. 管理の手間

WordPressでWebサイトを運営するには、定期的な更新やバックアップが必要です。特に、プラグインやテーマのアップデートを怠ると、Webサイトの表示がおかしくなったり、セキュリティリスクが高まることがあります。

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WordPressやプラグインにアップデートがあると、管理者にメールで通知が来ます。通知が来たら、なるべく早めに更新しましょう。

3. サポートが限定的

WordPressは無料で提供されているため、公式のサポートがありません。問題が発生した場合は、フォーラムやネット上の情報を利用して、自力で解決する必要があります。有料テーマやプラグインにはサポートが付いている場合もありますが、全てが迅速に対応されるとは限りません。

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コミュニティやマニュアルの解説サイトは豊富にありますが、問題の解決は自力で行う必要があります。有料でWordPressに相談できるサービスもあります。

4. ページ速度が低下する可能性がある

上記の図では便宜上プラグインと表現していますが、厳密にはJavaScriptというプログラムになります。

WordPressはプラグインを多用すると、Webサイトの読み込み速度が低下することがあります。特に、画像や動画が多いWebサイトや、プラグインを多く導入しているWebサイトは、表示速度の低下が発生することがあります。ページ速度が遅いと、訪問者がサイトを離れてしまう可能性が高くなるため、SEOにも悪影響を及ぼします。この問題を回避するためには、キャッシュプラグインの導入や、画像の圧縮、不要なプラグインの削除が有効です。

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プラグインの多用はセキュリティの問題だけでなく、Webサイトのパフォーマンス低下に繋がることがあります。初心者の内は、使用しているテーマが推奨したプラグインだけを利用しましょう。

5. 高度なカスタマイズには技術力が必要

WordPressで高度なカスタマイズを行いたい場合には、HTML、CSS、PHPなどのプログラミング知識が求められます。例えば、テーマのレイアウトを大幅に変更したり、独自の機能を追加したりする場合、コードを直接編集する必要があります。これにより、専門的な知識を持たないユーザーにとっては難易度が高くなることがあります。また、誤ったコードの編集によってサイトが正常に動作しなくなるリスクもあります。

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WordPressのカスタマイズには、高度な専門知識を要するものもあります。HTMLなどのコードを編集するには専門知識が必要ですので、初心者の方は触らないようにしましょう。

HTML、CSS、PHPとは?
  • HTML:ハイパーテキストマークアップランゲージの略称。Webサイトを作成するための基本的となる言語です。Webサイトの構造やレイアウトなどはHTMLで作成されています。
  • CSS:カスケーティングスタイルシートの略称。HTMLで構成されたWebサイトの見た目やデザインなどを指定する言語です。Webサイトの文字の色や大きさ、背景色や背景画像などはCSSで作成されています。
  • PHP:ハイパーテキストプリプロセッサーの略称。HTMLとCSSで作成されたWebサイトを動的に表示させるプログラミング言語です。Webサイト内の検索ボックスに検索を掛けると、結果が表示されたりするのもPHPの機能が働いています。

6. プラグインの依存性

WordPressの利便性はプラグインによる部分が大きいため、切り離すことはできないものでもある。

プラグインは、Webサイトの機能拡張に便利ですが、多用するとプラグインが持つリスクが高くなります。複数のプラグインが互いに干渉し、Webサイトの動作が不安定になることもあります。また、プラグインがアップデートされずに放置されると、セキュリティホールになる可能性もあります。これを避けるために、プラグインの選択は慎重に行う必要があります。

また、プラグインの持つリスクを緩和する方法としては、高機能なWordPressテーマを利用することも解決の一つです。高機能なテーマには、外部プラグインを使用せずに、同様の機能がテーマに備わってるものがあります。さらにテーマ専用のプラグインを提供しているものもあります。詳しくは「予算別 ブログ用おすすめWordPressテーマ」で解説しています。

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WordPress=プラグインというくらいにプラグインは重要な拡張機能です。初心者の方は必要な機能が実装されたテーマを選びましょう。

WordPressを利用するのに向いている方

WordPressは様々な用途のWebサイトが作成できますが、では実際にどういう方に適しているのか?主に以下のような方にはオススメできます。

以下の方はぜひWordPressを使いましょう
  • アフィリエイトブログで稼ぎたい方
  • 企業サイトの広報担当者
  • 企業サイトのオーナー
  • WordPressで商品やサービスを販売して収益化したい方

WordPressは無料ブログサービスのように、突然Webサイトが閉鎖される恐れがありません。上記の方であれば、WordPressを利用すべきです。

また、WordPressは複数のユーザーでWebサイトの運営が可能なので、企業サイトとの相性は抜群です。企業の広報としての一面だけでなく、販促ツールとしての機能もあるのはWordPressの強みです。

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Webサイトを利用してビジネスを考えるのであれば、WordPressは最適なツールです。

WordPressの始め方

WordPressの利用方法についてはいくつかの方法がありますが、当記事は代表的な方法だけを、簡潔に紹介します。利用の流れは以下の通りになります。

STEP1
独自ドメインを取得する

インターネット上にWebサイト表示させるにはインターネット上の住所が必要になります。独自ドメインとはあなたのWebサイトだけに与えられたWebサイトの住所になります。

STEP2
レンタルサーバーと利用契約する

Webサイトをインターネット上に表示させるにはサーバーが必要です。まず、レンタルできるサーバー会社に利用申し込みをします。

STEP3
WordPressの初期設定を行う

WordPressのインストール前に様々な設定を行う必要があります。

STEP4
レンタルサーバーにWordPressをインストールする

WordPressは公式サイトよりダウンロードする場合と、レンタルサーバーに既に用意されている場合があります。

インストールまで完了すると、WordPressのログインURLにアクセスすることができます。そこでユーザー名とパスワードを入力するとWordPressの管理画面にログインできます。

簡単にWordPressを始めたい方エックスサーバーの利用がオススメです。エックスサーバーでは、WordPressが既に用意されているため、公式サイトからダウンロードする必要はありません。また、WordPress簡単インストールという機能があるため、初心者でもすぐに利用できます。

まとめ

WordPressは、初心者からプロまで幅広いユーザーに支持されている強力なCMSです。その多機能性、カスタマイズ性、そして大規模なコミュニティサポートにより、さまざまなタイプのWebサイトを簡単に構築することができます。無料で利用できる点や、SEO対策がしやすい点も大きなメリットです。

一方で、セキュリティリスクや管理の手間、ページ速度の低下など、WordPressにはデメリットも存在します。これらのデメリットを理解し、適切な対策を講じることで、WordPressをより効果的に活用することができます。

最終的には、WordPressを利用する目的やスキルレベルに応じて、どの程度のカスタマイズや管理が必要かを見極めることが重要です。これにより、WordPressの強力な機能を最大限に活かしながら、自分に最適なWebサイトを構築することができるでしょう。

もしこれからWebサイトを作成しようとしているなら、WordPressはそのための最良の選択肢の一つです。実際に手を動かしながら、その可能性を探ってみてください。